ナイロン100℃ 「社長吸血鬼」

10月になりますが、観てきました。
ムーンライダーズの鈴木慶一さんとのバンド活動などでも知られるケラさん。
脚本家としての活動を私が知ったのは「時効警察」の時で、
いつかこの方の書かれた脚本の舞台を観たいと思っていました。

豊田商事事件をベースに、現実と幻想がいりまじり、
過去と現代が混濁したまま物語が進んでいく……と書くと社会派の真面目な作品のようですが、
実際に観ると印象は真逆。

殺伐とした職場のあるあるコメディ、謎のとぼけた老人たち、
頭のおかしい探偵などを、笑いながら追いかけていくうちに、
徐々に裏に隠れた恐ろしさが滲みだしてきて、世界が壊れていく。
ラストの破局で幕が下りてもよいだろうに、それぞれの現実は続き、
ふんわりした笑いに着地させて、後味もいい。凄いものを観ました!!!

プロジェクションマッピングには、これまで、あまりいい印象がなかったのですが
(色がどぎついし、ライトアップ用のものだと思い込んでいたので)、
舞台のセットに重ねて使うと、こんなにも効果的になるのかと感動しました。
他のお芝居でも、同様に面白い使い方をしていて、これ、ぜんぜんアリですね。
開放空間より閉鎖空間で、物語が進行する中で使うと威力を発揮するテクノロジーだなと。

二時間半1幕、まったく退屈することなく、夢中で観ました。
ナイロン100℃の公演は、今後も追いかけたいです。